中古車の法定整備とは？車検との違いや費用等を解説

中古車を購入しようとすると、法定整備付や法定整備無などの条件が提示されている車をよく見かけます。
そして、初めて中古車を購入する場合、この法定整備とはそもそも何なのかを知らないケースも少なくありません。

そこで今回の記事では、法定整備に関する情報をまとめて解説していきます。
また、中古車を法定整備付か法定整備無のどちらがお得かも解説しますので、合わせて参考にしてみてください。

中古車の法定整備とは？

この法定整備とは簡単に言えば、国土交通省によって行うように決められている車両の整備の事です。
詳しくは後ほど解説しますが、この法定整備は12ヶ月や24ヶ月に一度実施するように定められています。

また、項目についてはオイル漏れやブレーキの劣化具合などがあり、問題があれば実際に整備をするのです。
このように、定期的に行って安全に公道を走行出来るように車を点検し整備するのが、この法定整備の持つ役割と定義されています。

法定整備と車検の違いは安全基準や罰則にある

車が公道を安全に走行出来るように行う点検と聞くと、車検をイメージする方が多くいます。
確かに車検も同様に定期的に行わなければいけない検査です。

しかし、法定整備と同じというわけではなく、いくつかの違いがあります。
例えば、代表的な違いとして安全基準が挙げられます。

車検は車が公道を走れると、判断出来る最低限の基準をクリアしているかどうかのみを重視しているものです。
そのため、多少ブレーキ性能が落ちていたりしても、基準さえクリアしていれば検査に通ります。

一方、法定整備は最低限の基準ではなく、確実に安全と言える条件を満たしているかどうかをチェックし、問題があれば実際に整備するのです。
また、車検は行わなければ罰則がありますが、法定整備は義務付けられてはいても罰則はありません。

このように、法定整備と車検は検査結果の良し悪しを決める基準の高さや罰則のありなしなど、様々な点で違いがあるのです。

絶対に必要ではないがメリットがある

法定整備は車検とは違って、受けないからと言って罰則があるわけではありません。
そのため、絶対に受けなければいけないというわけではないのですが、中古車を購入する時には受けておくメリットは多くあります。

例えば、法定整備を受けておけば、これから使う中古車の安全性が保証されるわけですから、安心して車に乗る事が出来るでしょう。
それだけでなく、中古車を長く使い続ける事が出来たり、将来買い取りに出す時に査定アップに役立つなどのメリットもあります。

法定整備は絶対に必要ではありません。
しかし、メリットが多くありますので、受けておく価値は十分にあると言えるでしょう。

点検の相場価格

法定整備による点検や整備は、通常のサービスと同じようにある程度の費用が発生します。
実際の点検の価格は、法定整備を依頼する工場などによって多少変わります。

一般的な相場価格は、以下のような数字と考えてください。

12ヶ月点検	10,000円〜15,000円前後
24ヶ月点検	20,000円前後

ただし、上記の相場価格はあくまでも法定整備での点検のみの価格です。
点検の結果、問題が見つかれば部品代等が追加で発生しますので、その点は注意してください。

オイル交換等や修理箇所が多いと高い価格になる可能性もある

法定整備は点検のみであれば、上記の通り1〜2万円程度で済みます。
しかし、場合によっては合計で数十万円もの高い価格になる可能性もあるので注意が必要です。

例えば、点検の結果、オイル交換やブレーキの劣化などの問題が見つかれば、安全に走れるようにするために修理・整備を行います。
そして、その修理でオイル交換や部品交換等の数が多いと、やはり価格が高く付いてしまうのです。

もちろん、しっかりと中古車を選んでいれば、見つかっても細かい問題のみで大きな額になる事はほとんどありません。
しかし、反対に中古車選びをに失敗すると、法定整備で大きな費用を支払う事にもなりかねないので注意しましょう。

12ヶ月と24ヶ月の期間ごとの法定整備の点検項目・内容

法定整備には、12ヶ月点検と24ヶ月点検の2種類があります。
そして、この2種類の点検は同じ法定整備でも点検する項目や内容が違うのです。

そこで、12ヶ月点検と24ヶ月点検のそれぞれの点検項目について、1つずつ詳しくご紹介していきます。
実際に法定整備を受ける場合、どちらを選ぶべきかの判断基準としても使えます。

中古車の購入を検討中の方は、ここで内容の違いを一度チェックしておきましょう。

12ヶ月点検

12ヶ月点検でチェックされる項目とその内容は、以下の7つに分けられます。

1．走行装置

タイヤのすり減りなどの状態やホイール等の緩み等

2．制動装置

ブレーキの効き具合や液漏れ、ブレーキパッドの摩耗状態など

3．かじとり装置

パワーステアリング装置のベルトの緩みや損傷具合

4．動力伝達装置

トランスミッションの油漏れやプロペラシャフトの連結部分の緩み等

5．原動機

排気の状態や油漏れ、ファンベルトの緩み等

6．電気装置

点火装置の状態やバッテリーのターミナル部分の接続状態等

7．エグゾースト・パイプとマフラー

エンジンを動かした際に発生する排気ガス等をマフラーに送るエグゾースト・パイプとマフラーの取り付け具合や損傷状況

24ヶ月点検

24ヶ月点検での点検項目は12ヶ月点検の7つと同じですが、それぞれ以下のような内容が追加で点検されます。

1．走行装置

フロントホイールベアリングやリアホイールベアリングのがた

2．制動装置

マスタシリンダやホイールシリンダ等の機能や摩耗状態、ブレーキドラムの摩耗・損傷状態等

3．かじとり装置

ハンドルの操作具合やギアボックスの取り付けの緩み、ホイールアライメント等

4．動力伝達装置

プロペラシャフト・ドライブシャフトの自在継手部分あるダストブーツの亀裂や損傷状態

5．原動機

燃料装置からの燃料漏れ状態

6．電気装置

電気配線の接続部の緩みや損傷状態

7．エグゾースト・パイプとマフラー

マフラの機能

このように点検と点検の間が長く開く事もあって、24ヶ月点検では12ヶ月よりもさらに多くの内容を点検するのです。

中古車は法定整備付と法定整備無のどちらが得？

現在販売されている中古車には、「法定整備付」の車両もあれば、「法定整備無」の車両もあるのです。
この2つの内、どちらの条件の車が得なのかと言うと、何を重視するかによって答えが変わります。

例えば、購入時の価格のみであれば、当然法定整備を行う費用が含まれていない法定整備無の中古車の方が安いのでお得です。
しかし、法定整備が行われていない中古車の場合、購入後に故障や不具合等が見つかる事で将来的に追加の費用が発生する事もあるので注意が必要です。

一方で、法定整備付の中古車の購入価格は法定整備無よりも当然高いのですが、その後に発生する費用はありません。
さらに、自分で法定整備を行ったり、修理を依頼する必要もないので、時間や労力におけるコストなどを重視するなら法定整備付がお得だと言えるでしょう。

法定整備付と法定整備無の中古車費用の内訳の違い

法定整備付と法定整備無の中古車の関連情報として、それぞれの費用の内訳の違いについても見てみましょう。
まず法定整備付の中古車費用の内訳は以下が基本です。

• 中古車の車両価格
• 車検と手続きに関わる費用
• 12ヶ月点検、もしくは24ヶ月点検と手続きに関わる費用

一方で、法定整備無の中古車費用の内訳は以下のような構成です。

• 中古車の車両価格
• 車検と手続きに関わる費用

基本の内訳だけを見ても分かるように、法定整備無では文字通り法定整備を行わないません。
さらに、法定整備無の場合、車検に関わる手数料の費用も安く設定されているケースが多いため、実際に提示される費用には法定整備付と大きく離れる事があります。

具体的には、約5万円前後法定整備無の方が安くなる事が多いのです。
そのため、購入時の価格のみを重視するなら法定整備無の方がお得と言えます。

ただし、法定整備無だとその後の故障等のリスクがありますので、整備無の車選びは慎重に行うようにしましょう。

見積もりの整備費用が法定整備でない事もあるので注意

法定整備付を選ぼうと考えている場合、1つ気を付けておきたい注意点があります。
それは見積もりの項目の「整備込み」や「整備費用」が、必ずしも法定整備であるというわけではないという事です。

もちろん、この整備という言葉が法定整備を意味している事もあります。
しかし、業者によっては中古車販売店が独自で行っている整備を意味する事もあるのです。

これを勘違いしてしまうと、法定整備付の車両が欲しいのに間違って法定整備無の車両を購入する事などのトラブルに繋がります。
それを避けるためにも、法定整備かどうか明らかではない時は、しっかりと業者側に聞いて確認を取るようにしましょう。

自分で依頼するなら指定整備工場や認証整備工場を利用

中古車を購入する人の中には、法定整備無の車両を購入し、実際の法定整備は自分で工場に依頼したいと考える人もいます。
もちろん、車の構造などに関する知識を持つ人がいるのであれば、どこでも法定整備の依頼をする事は可能です。

ただ、本当の安心を得たいのであれば、以下の2種類のいずれかの工場に依頼する事をおすすめします。

この2つの工場は地方運輸局、つまり国土交通省からの認証を得ている工場なので、どちらでも安心して法定整備を依頼出来るのです。
ですので、少しでも確実な整備を望む方は、ぜひお近くの認証整備工場や指定整備工場を探して利用してみてください。

法定整備のまとめ

法定整備に関する情報を簡単にまとめます。

【中古車の法定整備とは】

【法定整備の相場価格】

12ヶ月点検	10,000円〜15,000円前後
24ヶ月点検	20,000円前後

※点検により修理や部品交換の箇所が多い事がわかった場合、高額になる可能性もある

【12ヶ月点検と24ヶ月点検の点検項目の違い】

基本は12ヶ月点検も24ヶ月も以下の7項目をチェックする

ただし、24ヶ月点検では12ヶ月点検のチェックに加え、さらに細かく部品の状態を点検する違いがある

【中古車は法定整備付と法定整備無のどちらがお得なのか】

【法定整備を自分で依頼するなら】

法定整備は車を長持ちさせ、安全に公道を走行させるためなど色々な事に非常に役に立つものです。
そのため、特別な理由がない限りは12ヶ月や24ヶ月点検が含まれた中古車を購入し、その後も忘れずに整備を依頼するようにする事をおすすめします。