「残クレってどんな仕組みなんだろう…」と思っている方。
たしかに他のローンとの違いを言葉で説明できる人は少ないですし、営業マンのセールストークを鵜呑みにして利用するのは不安ですよね。
そこでこの記事では、残クレの利用を検討している方に向けて、車に詳しくない人にも分かるように残クレの仕組みやメリット・デメリットを解説していきます。
まずはこの記事で、残クレを利用するのがあなたにとって「お得」なのか「損」なのかをハッキリさせていきましょう!
残クレとは?仕組みを解説
残クレ(残価設定型ローン)とは、数年後に車を販売店に売る事を前提にお金を借りるカーローンです。
分かりやすく3年間(36回払い)のケースで説明をすると、下記のような仕組みになります。
2.車両本体価格から36回目の最終支払い分(車の売却金額)を差し引いた額(35回分)を分割払いする
3.最終回の支払い(36回目)では、残クレを利用した販売店に車を返却(売却)する形で支払いを終える
【車両価格300万円の残クレの内訳例】
金額 | |
---|---|
最終回の支払い(36回目) | 100万円+金利 |
分割払い合計額(35回分) | 200万円+金利 |
月々の支払い額 | 5.7万円+金利 |
ただし、必ずしも最終回の支払い時に、車を販売店に返却(売却)しなくてはならないわけではありません。
その辺りについては、この次に詳しく説明していきますね!
最終回支払い時は3つのプランから車をどうするか決める
残クレは、最終回支払い時に3つのプランから今後車をどうするかを決めていきます。
【残クレ最終回支払い時の3つのプラン】
2.車両を販売店に返却(売却)してローン完済した後に新たな車に乗り換え
3.車を販売店に返却(売却)せずに購入する
「3.」と「2.」については、これまで乗ってきた車を分割払いの最後の支払いに充てる形で販売店に車を返却(売却)します。
ただし、これまで乗ってきた車を返却(売却)したくない場合には、③のプランを選びましょう。
最終回支払い予定のローン残高を下記のような形で車を買い上げれば、車両をあなたの物にできます。
- 一括払い
- 再ローンを組む
では次に、そんな残クレの仕組みはどんなタイプの方であれば、お得に利用できるのかについて説明していきます。
残クレの仕組みとメリット!得するのはどんなタイプの人?
残クレの仕組みによるメリットで、得するタイプは以下のような方々です。
・最新の高級車にお得に乗り続けたい方
・3年~5年の間だけ車が必要な方
・キャンペーン中で残クレを低金利で利用できる方
・下取り額を保証してほしい方
ただし、1つのタイプに当てはまったからといって、必ずしもお得になるとは限らないのが残クレの怖い所…。
注意点も踏まえて一体どういう事なのかを、タイプ別に解説していきます。
頭金なしで購入!月々の支払いも安く済ませたい方
残クレは仕組み上、「頭金は用意できないけど月々の支払額を安くしたい」という方にメリットが大きいローンだと言えるでしょう。
なぜなら、数年先の車の売却金額をローンの最終回支払い時に組み込めるので、頭金がなくても月々の支払額を抑えられるからです。
イメージとしては、「残クレは頭金代わりに、車を売却するお金を最終回支払い時に担保する」と考えてもらえると分かりやすいかもしれません。
【頭金0円でマイカーローンと残クレを利用する場合の違い】
車両価格 | 頭金 | 月々の支払い | 最終回支払い | |
---|---|---|---|---|
マイカーローン | 300万円 | 0円 | 約8.3万円 | 約8.3万円 |
残クレ | 300万円 | 0円 | 約5.7万円 | 約100万円 |
※3年(36回払い)で300万円を完済する場合の計算
※残クレは、最終回支払い時に車を100万円で販売店に返却(売却)します。
※マイカーローンは月々の支払いが厳しい分、完済後に約100万円の価値の車両が手元に残ります。
最新の高級車にお得に乗り続けたい方
残クレは人気車種あれば、下記のようなメリットがあり、お得に利用できます。
・車売却時の手間や時間を節約できる
なぜなら、残クレは仕組み上、車を購入する時点でその車種が下記のような数年後も価値が落ちにくい人気車種だと、最終回支払い時の買取予定金額(残価率)が増えて、月々の支払いがより楽になるからです。
- 新モデル
- 高級車
【車両価格300万の残クレ支払い例(5年・60回払い)】
人気車種 | 不人気車 | |
---|---|---|
最終回の支払い(60回目) | 150万円 | 60万円 |
分割払いの合計額(59回分) | 150万円 | 240万円 |
月々の支払い (分割払いの合計額÷59) |
月2.5万円 | 月4.1万円 |
⇒人気車種だと不人気車に比べて月々の支払いが、約1.6万円安くなる
3年~5年の間だけ車が必要な方
「最終回支払い時は3つのプランから車をどうするか決める」でお伝えした通り、残クレは最終回支払い時に販売店に車を返却(売却)すれば、それでローンが完済になります。
そのため、「子供が小さい間」「引っ越すまでの間」のように、3年~5年の短期間のみ車を必要としている方にとって残クレの仕組みは、下記のようなメリットがあります。
- 車売却時の手間や時間を節約できる
- 月々の支払い額の負担を減らせる
転勤や子育てなどで今後ライフプランの変化が見込める方は、残クレの利用を検討してみても良いでしょう。
キャンペーン中で残クレを低金利で利用できる方
車購入時に残クレのキャンペーンが実施されていて低金利でお金を借りれるのであれば、残クレの仕組みはお得だと言えるでしょう。
なぜなら、通常時の残クレは他のローンに比べて金利が高いケースが多いからです。
特に1.9%の超低金利キャンペーンが実施されている時は、購入したい車がキャンペーンの対応車種になっているかをチェックしてくださいね!
【残クレとマイカーローンの金利相場】
金利相場 | |
---|---|
残クレ(通常時) | 4%前後 |
残クレ(キャンペーン中) | 1.9~2.9%前後 |
マイカーローン | 3%前後 |
下取り額を保証してほしい方
数年先の下取り額を保証してほしい方は、残クレを利用するメリットが大きいでしょう。
なぜなら、残クレは仕組み上、数年先の車の買取(下取り)額を保証した上でローンを組むからです。
3年~5年の間に車の価値が急落したとしても、ローン契約時に設定した金額で販売店に買い取ってもらえます。
- 車を売る時に中古車市場の相場を気にするのが面倒くさい
- 将来的に車の価値が落ちないか不安
- 将来的に車を高く売るよりも、手間や時間を節約したい
上記のような方は、残クレの利用を検討してみてくださいね。
残クレの仕組みとデメリット!損するのはどんなタイプの人?
営業マンの話を聞いているとメリットが多く、利用してみたくなる残クレの仕組みですが、実際にはデメリットの方が多いのです。
そのため、車に対して以下のような価値観を持っている方は、残クレを選ぶと損をする可能性が高いでしょう。
・車を資産として所有したい方
・幅広い選択肢の中から車を選びたい方
・走行距離やカスタムなどの制限なく車に乗りたい方
・運転に自信がなく、傷・故障・事故の追加料金が心配な方
・売る時に高価買取を目指したい方
具体的にどんなところで損をしやすいかについては、タイプ別に解説していきます。
長期間お得に車に乗り続けたい方
お得に長期間車に乗り続けたい方にとって、残クレの仕組みは金銭的なデメリットが大きいと言えます。
なぜなら残クレには、下記のような特徴があるからです。
・車を販売店に返却(売却)する形でローンを完済するので、車の売却資金を新車の購入費用に充てられない
・マイカーローンに比べて、金利が高いケースが多い(支払総額が高くなる)
ですので、「車の買い替え費用を抑えたい方」「5年以上のサイクルで車を買い替える方」は、残クレよりも現金一括払いやマイカーローンを利用するのがおすすめでしょう。
車を資産として所有したい方
残クレは、車を資産(自分の物)として所有したい方には不向きのローンになります。
なぜなら、残クレは「借りたお金を返済して車を購入する」のではなく、「お金を払っている期間だけ販売店から車を借りる」仕組みのローンだからです。
「残クレのローン完済=販売店に車を返却(売却)」になるので、ローン完済後でも車を自分の物にする事はできません。
「最終回支払い時は3つのプランから車をどうするか決める」で説明したように、車をあなたの物にするためには、最終回支払い予定のローンを下記にて買い上げる必要があるのです。
- 一括払い
- 再ローンを組む
自分の車を資産として所有したい方は、下記のどちらかの方法で車を購入した方が良いでしょう。
・現金一括払い(購入時から車を自分の物にできる)
幅広い選択肢の中から車を選びたい方
幅広い選択肢の中から車を選んで購入したい方には、残クレは不向きです。
なぜなら、残クレは対応車種が限られており、自分の希望車種が必ずしも残クレの仕組みを利用して購入できるとは限らないからです。
さらに、「キャンペーン中で残クレを低金利で利用できる方」でも説明したキャンペーンについても、低金利で残クレを利用できる対応車種は限定されています。
そのため、縛りなく車を選びたい方は、最初から残クレでの支払いは除外しておいた方が良いでしょう。
【ホンダの残クレ低金利キャンペーンに対応している車種】
・ステップワゴン
・フリード
※2019年10月時点の情報です
※出典:ホンダ/残クレ1.9%キャンペーン実施中!
走行距離やカスタムなどの制限なく車に乗りたい方
走行距離やカスタムなどの制限なく車に乗りたい方にも、残クレは不向きだと言えます。
なぜなら、販売店が定めるいくつかのルールを守って車両状態を維持しないと、下取り額(買取額)が保証されなくなってしまうからです。
実際にホンダのサイトでも以下のルールを守れない場合は、別途規定の精算金額の負担や超過走行料金を請求すると明記しています。(ルールは各メーカーで若干異なります)
・違法改造(カスタム)の禁止
そのため、「車をいじりたい方」「遠距離運転が多い方」は残クレの仕組みを利用しない方が良いでしょう。
運転に自信がなく、傷・故障・事故の追加料金が心配な方
残クレは、ローンの最終回支払い時に車を返却(売却)するのが前提のローンです。
そのため、ローン完済前に車に傷を付けたり事故を起こして故障させたりしてしまうと、販売店に車を返却(売却)する際に、別途規定の精算料金を請求されてしまいます。
運転に自信がない方は、残クレの仕組みは利用しない方が無難だと言えるでしょう。
また、「マイカーローン」or「現金一括払い」であれば、車に何らかの傷や故障があっても売却時には複数の買取店から見積もりを取れるので、最低買取価格になるのは防げます。
売る時に高価買取を目指したい方
残クレはあらかじめ決められた車の買取価格で、数年後のローンの最終回支払い時に車を販売店に返却(売却)する仕組みになっています。
そのため、下記のようなデメリットがあります。
- 他の店舗の見積額と比較して買取額を交渉できない
- 売却時に車の価値が上がっていても高く売れない
つまり、数年後に他の店舗でもっと高く買い取ってくれると分かっても、販売店にしか車を売却できないのです。
そのため、高価買取を目指して車を売却したい方には、残クレは向いていません。
やはり「現金一括」or「マイカーローン」で車を購入して、その後に自分で高価買取してもらえる業者を探した方が良いでしょう。
ちなみに、手間が掛かると思われがちな車の売却。
現在はネット上で簡単に複数の業者の見積もりを比較できますのでぜひ試してみてください。
ユーカパック | 営業電話が提携業者1社からのみのクリーンな一括査定サイト |
カーセンサー | 営業電話はあるが、提携業者が多く交渉しやすい一括査定サイト |
残クレの仕組みで損する方はマイカーローンの検討を!
ここまで説明したように、残クレはメリットよりもデメリットに注意すべきローンです。
複雑な仕組みから、つい営業マンのセールストークを信用しがちですが、本当にあなたが得するお金の借り方なのかをこの記事を読んでよく検討しましょう。
また、「どう考えても残クレを選ぶと損をするな…」と感じた方は、同じローンでもマイカーローンを選ぶのがオススメです。
マイカーローンであれば、下記のようなメリットがあります。
- ローン完済後に車を自分の物にできる
- 残クレに比べて金利が安いケースが多い
借入先さえちゃんと選べば、残クレよりも損をする確率を減らせます。
自動車メーカー別の残クレの仕組みや金利について
同自動車メーカー内の車でも残クレの金利は、1.9~4.9%と大きな開きがあるケースが多いようです。
これは、下記のような理由が関係しています。
・販売店によって金利が異なるケースがある
・車種によって金利が異なる
・時期によって金利が変動する
そのため、正確な残クレの金利を知りたい場合には、販売店に直接問い合わせるのが安心でしょう。
仕組みはどこも同じで3年~5年のプランで、残クレを利用できるようになっています。
自動車メーカー別の残クレの詳しい説明やキャンペーン情報は、以下を参考にしてください。
【自動車メーカ別の残クレ説明サイト】
トヨタ:https://toyota.jp/zanka/
日産:https://www.nissan.co.jp/CREDIT/BVC/lineup.html
ホンダ:https://www.honda.co.jp/HFC/auto/zankure/
スズキ:http://www.suzuki-finance.co.jp/credit/kaeru-plan/index.html
スバル:https://www.subaru-finance.co.jp/plan/zanka.html
ダイハツ:https://www.daihatsu.co.jp/sumapake/wankure/index.htm
マツダ:http://www.mazda-credit.gr.jp/lineup/lineup.html
三菱:https://www.mitsubishi-motors.co.jp/purchase/credit/mycarplan/campaign_2019/
残クレの審査に落ちたらどうなる?審査は厳しいの?
残クレの審査基準は、通常のマイカーローンに比べると甘いと言われています。
なぜなら、購入する車が最終回支払い時の担保になっているからです。
ただし、過去の信用情報※をチェックされるのはマイカーローンと変わりません。
以下のような方は、残クレの仕組みでも審査に通るのが厳しいのです。
【残クレ審査に通るのが厳しい人の特徴】
・過去に金銭トラブルがあった(返済の遅延や滞納など)
・すでに他社からお金を借りている
もし残クレ審査に落ちてしまった場合には、下記のような方法でローンを利用できるケースもあります。
- 頭金を多めに入れて借入額減らす
- 連帯保証人を付ける
- 残クレを諦めて、金利が高めのディーラーローンを組む
年収や職歴・借金歴や滞納歴・ローンの借入状況など、あなたに金銭的な信用度があるか分かる個人データ
残クレの仕組みのまとめ
それでは最後に、残クレの仕組みについておさらいしていきます。
残クレ(残価設定型ローン)とは、ローンを組んだ販売店に購入した車を返却(売却)する事が前提になっているローン。
3年~5年後の最終支払い時に車を返却(売却)するので、資金力がなくても月々の支払い負担額を減らせます。
残クレで得するタイプ
・最新の高級車にお得に乗り続けたい方
・3年~5年の間だけ車が必要な方
・キャンペーン中で残クレを低金利で利用できる方
・下取り額を保証してほしい方
残クレで損するタイプ
・車を資産として所有したい方
・幅広い選択肢の中から車を選びたい方
・走行距離やカスタムなどの制限なく車に乗りたい方
・運転に自信がなく、傷・故障・事故の追加料金が心配な方
・売る時に高価買取を目指したい方
残クレで損する人の対策
自動車メーカー別の残クレについて
・金利は同メーカー内でも、車種や時期によって1.9~4.9%に変動する
残クレ審査の厳しさ
・金銭的な信用度が低いと落ちる事もある
・審査に落ちても、信用度を上げたりディーラーローンを利用したりすればローンを組めるケースもある
残クレは複雑な仕組みのため、勘違いが生まれやすいローンです。
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