「車庫飛ばし」という単語は聞いた事があっても、実際何が車庫飛ばしに当たるのかを正確に理解している方は少ないはずです。
そのため、世の中には知らない間に違法の車庫飛ばしをしてしまっている方が多くいます。
そこでこの記事では、「もしかしてこれって車庫飛ばしなの?」と疑問に思っている方に向けて、下記項目を中心に解説していきます。
- 車庫飛ばしの定義や調べ方
- 車庫飛ばしがバレた際の罰則・罰金
- よくある車庫飛ばしの例
車を所有する全ての人に役立つ知識なので、ぜひご一読ください。
車庫飛ばしとは?単語の意味を解説
車庫飛ばしとは、車の使用者の現住所から半径2km以内に、車を駐車(保管)していない違法行為の事です。
具体的には、以下の2つの住所が同一で、車庫証明書※に記載された駐車場(自動車の保管場所の位置)にしっかり車を保管(駐車)していれば、車庫飛ばしにはなりません。
- 現住所(住民票に記載されている住所)
- 車庫証明書※に記載された住所(使用の本拠の位置)
そのため、自分または知人の車が車庫飛ばしをしているかを調べたい時には、車庫証明書の記載住所と現住所(現駐車場)に相違がないかをチェックするのがおすすめです。
正式名称は、自動車保管場所証明書。現住所から直線距離で半径2キロ以内に車の保管場所(駐車場)がある事を証明する書類。
違法なのに簡単に出来てしまう車庫飛ばしの方法・手口
違法行為である車庫飛ばしですが、実は以下のような方法・手口を実践すれば、簡単に出来てしまいます。
駐車場に止められる台数以上の車を保管するために、1台の車を書類上は廃車として申請して所有する方法
車庫証明書を取得する時だけ、一時的に住民票を希望の駐車場の半径2m以内に移動させる方法
車庫証明書の取得時は実家の住所で駐車場を申請。その後に引っ越しをして、車だけ実家で保管・使用する方法
この他にも様々な方法がありますが、意図的ではなくても引っ越しや転勤がキッカケで、うっかり車庫飛ばしをしてしまっている方も多くいます。
実際には、住所変更日から15日以内に車庫証明書は再取得する必要があるので、注意をしましょう。
車庫証明に必要な書類・手数料
車庫証明は、駐車場の地域を管轄している警察署で申請出来ます。(自宅住所を管轄している警察署とは別地域の場合があるので、注意してください)
以下の申請時に必要な書類は、全て警察署に用意されています。
必要書類の名称 | 自宅または所有している土地で車を保管する場合 | 他者が所有している土地で車を保管する場合 |
---|---|---|
自動車保管場所証明申請書 | ○ | ○ |
保管場所標章交付申請書 | ○ | ○ |
保管場所の所在図・配置図 | ○ | ○ |
保管場所使用権原疎明書面(自認書) | ○ | ✕ |
保管場所使用承諾証明書※ | ✕ | ○ |
※記載事項が充足されていれば契約書の写しでも可
そのため、車庫証明申請時に持参するのは以下の2点のみになります。
2.手数料(2,000~2,200円前後)※都道府県により異なる
車庫飛ばしにならないように、書類に記載する住所はしっかりチェックしておきましょう。
車庫飛ばしはバレないの?警察に発覚するポイント
「違法なのに簡単に出来てしまう車庫飛ばしの方法・手口」でも説明したように、意図的であっても意図的ではなくても簡単に出来てしまう車庫飛ばし。
基本的には車庫証明の申請さえ完了していれば、車庫飛ばしがバレる確率は低くなっています。
しかし、以下のようなケースは警察に車庫飛ばしが発覚するリスクが高いのです。
明らかに別地域のナンバープレートが付いた車が毎日駐車している場合
排ガス規制地域で古いディーゼルエンジン車が走行している場合
車庫飛ばしはとは別の違反で芋づる式にバレる
スピード違反など車庫飛ばし以外の犯罪で警察に事情聴取を受ける場合、車検証と免許証の情報などで車庫飛ばしが発覚するケースがある
車庫飛ばしがバレた際の罰則・罰金!軽自動車も注意
車庫飛ばしが万が一バレた場合には、以下のような罰則・罰金が課されます。
罰則名称 | 罰金の額や罰則内容 |
---|---|
虚偽の保管場所証明申請 | 20万円以下の罰金 |
保管場所の不届け、虚偽届出 | 10万円以下の罰金 |
道路の車庫代わり使用 | 3ヶ月以下の懲役又は20万円以下の罰金 違反点数3点 |
道路における長時間駐車 | 20万円以下の罰金 違反点数は2点 |
※刑法第157条公正証書原本不実記載等の罪に該当
また、軽自動車は普通自動車とは異なり、ナンバー登録前に車庫証明の申請をしません。
ナンバー登録後に、管轄の警察署に車庫の届出をする必要があります。
この場合も車のナンバー登録時に必要がないからと言って申請を忘れていると、車庫飛ばしになってしまうので注意をしましょう。
では次に、うっかり知らぬ間に車庫飛ばしになってしまう4つの例を紹介していきます。
車庫飛ばしになりやすい4つの例!
車庫証明の申請時には車庫飛ばしをする気はなかったのに、気付いたら車庫飛ばしになってしまっているよくある事例は以下の4つです。
2.同居していない親族への車の譲渡
3.実家の住所で車庫証明をとっている
4.排ガス規制逃れ
基本的にはどれも下記のような知識不足が原因で、意図せずに車庫飛ばしに発展しています。
- 車庫証明の再取得の必要性を知らなかった
- その行為が車庫飛ばし(犯罪行為)だという認識がなかった
具体的にどんなポイントで車庫飛ばしになっているかは、この次に説明していくので参考にしてください。
転勤・引っ越し
転勤や引っ越しなどで住所が変わると、もちろん住民票も移す事になります。
その際に、以下の手続きを忘れて、新たな地域で車を運転したり駐車したりすると車庫飛ばしになってしまうので注意をしましょう。
手続き名称 | 手続きする場所 |
---|---|
車検証の住所変更 | 新住所を管轄している運輸支局(陸運局) |
車庫証明書の再取得 | 新駐車場地域を管轄している警察署 |
どちらも、原則的に住所変更後15日以内に手続きを行う必要があります。
そのため、転勤や引っ越しがある場合には、あらかじめ転勤・引越し後のスケジュールに上記の手続きを組み込んでおくのがおすすめでしょう。
同居していない親族への車の譲渡
同居していない親族に車を譲渡した場合、もちろん使用者の住所が変わるので、手続きを行わないと車庫飛ばしになります。
この場合に必要な手続きは、「車検証の名義変更」と「車庫証明書の再取得」です。
ちなみに、名義変更の方法は以下の2通りがあります。
2.自分でお住まいの地域の陸運事務所(軽自動車は軽自動車検査協会)で手続きをする
同居している親族に車を譲渡する場合には、名義変更をしなくても住所が変わらないので車庫飛ばしにはなりません。
ただし、車を主に運転する人と車検証上の使用者が異なっていると、事故を起こした時に補償金が出ない可能性が高いです。
どちらにしても名義変更の手続きや車庫証明書の再取得(使用者の変更)は譲渡した段階で行った方が、安心だと言えるでしょう。
実家の住所で車庫証明をとっている
車を駐車(保管)しているのは実家であるという場合も、使用者が実家から引っ越した際に手続きをしていないと、車庫飛ばしになります。
なぜなら、車の使用者が住んでいる場所から直線距離で半径2キロ以内に、車の保管場所(駐車場)を用意する決まりになっているからです。
そのため、車庫飛ばしを防ぐためには、以下のどちらかの方法を実践する必要があります。
・転勤・引っ越しと同様の手続きを行う(車検証の住所変更、車庫証明の再取得)
排ガス規制逃れ
ディーラー営業マンの中には、排ガス規制に引っかからないように古いディーゼルエンジン車の田舎への車庫飛ばしを安易に進める人がいます。
なぜなら、排ガス規制は都市部の特定地域でのみ行われているからです。
しかし、「車庫飛ばしはバレないの?警察に発覚するポイント」でも説明したように、排ガス規制地域で古いディーゼルエンジン車を運転すると、車庫飛ばしがバレるリスクが高まります。
都市部で車を運転したいのであれば、古いディーゼルエンジン車は廃車して、排ガス規制に引っかからない車を所有した方が良いでしょう。
車庫飛ばしのまとめ
それでは最後に、車庫飛ばしについておさらいしていきます。
車の使用者の現住所から、半径2km以内に車を駐車(保管)していない違法行為
車庫飛ばしの方法や手口
・住民票の一時移動
・実家の駐車場利用
⇒車庫証明の虚偽申請をして車庫飛ばしをする
車庫飛ばしが警察に発覚しやすいケース
・排ガス規制地域で古いディーゼルエンジン車を運転する
・車庫飛ばしとは別の違反行為をする
⇒最高20万円以下の罰金、違反点数3点
うっかり車庫飛ばしになりやすい4つの例
- 転勤や引っ越し
- 同居していない親族への車の譲渡
- 実家の住所で車庫証明をとっている
- 排ガス規制逃れ
車庫飛ばしはバレるバレないに限らず、犯罪行為になります。
手続きさえすれば、車庫飛ばしを防げるので、引っ越しなど住所が変わるタイミングでは特に注意をしておきましょう!
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