家族がお亡くなりになって、故人所有の車が残る事は少なくないでしょう。
通常、普通車は財産と見なされるため、相続人の中から決まった人が相続を受けます。
相続を受けた人が所有者となって、車の使用や管理、廃車などを行うのです。
しかし、財産は相続の放棄が出来ます。
相続人が放棄した車を廃車にしたい場合、どうしたら良いのでしょうか。
そこで今回は、相続放棄後の車の廃車について、詳しく解説したいと思います。
相続放棄とは?
家族が亡くなった際に遺産がある場合、法定相続人が相続をする権利を持っています。
法定相続人とは、配偶者や子、孫や兄弟など法的に順位が付けられています。
しかし、遺産は相続をしないと自分で決める事が出来るのです。
それを相続放棄と言い、相続人が相続開始の事実を知った日から3ヶ月以内なら放棄が出来ます。
財産と聞くと、プラスのイメージを抱く人は多いでしょう。
しかし、財産には借金などのマイナスのものもあるのです。
プラスの財産を相続するには、マイナスの財産も同時に譲り受けなければなりません。
ですから、マイナスの財産が多い場合や、プラス・マイナスゼロに近い場合には、相続放棄をする人もいるのです。
相続人が相続放棄をした場合の自動車の処分については、実は法的に明確な決まりはありません。
法律でハッキリと決まっているのは「相続人が相続財産の全部又は一部を処分した際は、その相続を単純承認をしたものとみなす」という事だけです。
単純承認については後述します。
相続放棄が出来るとは言え、故人の車を廃車せずにずっと放置しておく訳にはいかないでしょう。
相続放棄後の車の処分について、順番に解説していきます。
相続放棄をしなければ単純承認と見なされる
相続についての法律で、単純承認というものがあります。
法定相続人になっている人が3ヶ月以内に相続放棄をしない場合、相続を受け入れる意思があると見なされてしまうのです。
また、相続放棄をした場合でも、相続財産の一部もしくは全てを消費、隠蔽、目録中に記載しないという場合も、単純承認として見なされる事があります。
自動車の場合、相続放棄後にその車を使用していたり、売却や廃車・処分などをするだけでも、単純承認と見なされる可能性があるのです。
単純承認の注意点は、プラスの財産だけでなく、借金や債務もセットで相続したと見なされてしまう事。
故人の遺産を相続する意思がない時は、相続放棄後も慎重に行動しなければならないのです。
相続人全員が相続放棄した場合
法定相続人は、配偶者や親族です。
しかし、人によってその範囲や人数は異なります。
法定相続人が複数人いるというケースが一般的ですが、その全員が相続放棄をする場合もあります。
特に、負債などを抱えている場合は、その支払いを肩代わりしたいと思う人は少ないでしょう。
相続放棄をすれば、もうそれで責任はないと考えている人もいるかと思います。
しかし、管理責任からは逃れられません。
相続人全員が放棄をした場合、財産や負債の管理が行われる事がないまま放置されてしまいます。
相続人のいない財産は最終的には国の物になりますが、それにも手続きが必要です。
負債がある場合は、債権者は元相続人に返済を求めてくる事もあるでしょう。
そこで、このような相続人のない財産を管理するのが相続財産管理人です。
利害関係者や検察官が申立てをし、家庭裁判所の審判によって選任されます。
相続財産管理人が決まれば、放棄した車の廃車も任せる事が出来るのです。
ただし、財産を管理するのには様々な諸経費や報酬などが掛かります。
遺産の中に十分な預貯金などが無い場合、数十万~100万円程度の家事予納金が必要となりますので注意が必要です。
相続放棄後の廃車に関する問題・注意点
相続放棄をした車も、長期間敷地内に駐車してあれば処分したくなりますし、税金なども気になります。
相続放棄後の廃車に関する問題や注意点について、詳しく見ていきましょう。
遺品整理業者が処分してくれない
家族が亡くなった場合、遺品を整理しなくてはならないでしょう。
最近では、遺品整理を代行で行ってくれる業者もあり、利用する人も増えています。
しかし、車の処分については行っていない業者が多いのです。
行っている遺品整理業者においても、相続放棄をしている車の場合は法的に色々とトラブルになる事を避けるため、他の遺品と同じ扱いで処分はしてくれないでしょう。
そうなると、元相続人が何らかの手段で処分しなくてはならないのです。
しかし、相続放棄をした車を勝手に廃車にすると、単純承認と見なされる可能性があります。
また、そもそも普通車の場合は、相続の手続きをしなければ廃車にする事が出来ません。
軽自動車の場合は名義変更を行えば廃車も可能ですが、名義変更の時点で単純承認と見なされる可能性があるでしょう。
このように、相続放棄後の車の処分は非常に難しいのです。
維持にコストが掛かる
相続を放棄すれば、その車に関する義務はなくなります。
しかし、相続人全員が相続放棄をした場合、代わりに誰かが廃車や売却をしてくれる訳ではありません。
相続放棄後も故人所有の車が敷地を占領していたり、停めておくのに駐車場代が掛かるケースも少なくないのです。
また、厄介なのが自動車税でしょう。
自動車税は、毎年4月時点での車の所有者に課せられます。
亡くなったとは言え、所有者が故人になっている以上、自動車税は掛かってくるのです。
相続放棄をしても、親族の車の税金が滞納されているのを見て見ぬふりは出来ないでしょう。
このような場合、故人の預貯金から支払うのが当然と考えがちですが、預貯金に手を付ける行為が単純承認と見なされてしまう可能性もあるのです。
そこで、元相続人がポケットマネーで支払うケースも多いのですが、それは非常に大きな負担でしょう。
このように、相続放棄後の車の維持にも多くのコストが掛かるのです。
相続放棄した車の廃車方法
相続放棄した車の廃車方法については、その車に財産としての価値があるのか無いのかで変わります。
また、ローンの返済中などのケースもあるでしょう。
それぞれのケース別に、廃車方法について解説していきます。
財産的価値がない車の場合
相続放棄をした車の取り扱いについては、実はその車に価値がある・無しに大きく関係します。
まず、運輸支局に新車として登録されてから5年以上経過している車については、財産的価値が無いとされています。
つまり、遺産相続の際の「財産」には当たらないと判断されるケースが多いのです。
そのような場合は、故人の車を廃車にしたとしても財産の処分には当たりません。
財産的価値がない車の処分は、相続放棄をした人でも出来るのです。
通常、故人の普通自動車の解体は、相続手続きを行わなければ出来ません。
しかし、このケースでは車は財産ではないため、行政上の手続きのみを家族が行うという解釈になります。
ただし、解体を先に行うのが条件です。
また、その後のトラブルを防ぐためには、実際に車を査定してもらって価値が無い事を証明してもらうのが確実でしょう。
財産的価値がある車の場合
故人の車に財産的価値がある場合は、相続放棄をした人では廃車にする事が出来ません。
その場合、一番トラブルが少ないのが、先ほども解説した相続財産管理人を立てる方法です。
相続財産管理人を立てれば、相続人の無い車の税金の支払いや廃車手続きなどをしっかりと行ってくれます。
相続財産管理人を立てるには、まずは家庭裁判所に相続財産管理人の選任申立の手続きをしなければなりません。
相続財産管理人選任申立の方法
相続財産管理人の選任申立の手続き方法は、まず相続財産管理人選任申立書を作成します。
申立書は、家庭裁判所のホームページに書式と記載例が載っているので、参考にしてください。
http://www.courts.go.jp/vcms_lf/21m-betsu1.pdf(※記入例)
必要書類を用意し、予納郵便切手を添えて家庭裁判所に提出します。
予納郵便切手とは、裁判所からの返信郵便物に使用する切手を先に予納しておくよという事です。
金額は地域や裁判所によって異なりますので、事前に確認しておく必要があります。
いくら分が何枚と決まっており、郵便局や家庭裁判所の売店などではセットで販売していますので、そちらで購入しましょう。
申立が受理されると、相続財産管理人が必要な状況なのかを裁判所が審理します。
そして、審判の結果、裁判所が相続財産管理人が必要であると判断したら、相続財産管理人が選任されるのです。
相続財産管理人の選任が完了すると、申立人の元に審判書が届きます。
審判書には、相続財産管理人の氏名や住所などが記載されています。
相続財産管理人の選任に関する費用
申し立て費用 | 収入印紙800円 |
官報公告費用 | 3,775円 |
予納金 | 数十万円~100万円程度(遺産に現金が十分ある場合は無し) |
相続財産管理人の申立ての必要書類
相続財産管理人の申立てには、以下の書類が必要です。
・被相続人の父母の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している人がいる場合は、その人の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・被相続人の直系尊属(親など)の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・被相続人の兄弟姉妹で死亡している人がいる場合は、その兄弟姉妹の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・代襲者としての甥・姪で死亡している人がいる場合、その甥・姪の死亡の記載がある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・被相続人の住民票除票又は戸籍附票
・財産を証する資料、預貯金及び有価証券の残高が分かる書類(通帳写しや残高証明書等)
・利害関係人からの申立ての場合は、利害関係を証する資料(戸籍謄本の全部事項証明書)、金銭消費貸借契約書写し等
・財産管理人の候補者がある場合にはその住民票又は戸籍附票
戸籍法が改正される度に、戸籍は書き換えられます。
改製原戸籍謄本とは、その書き換えられる前の戸籍の事です。
代襲者とは、相続権を失った直系尊属に代わり、それと同じ地位に上って被相続人となる人を指します。
これらの書類を揃えて、予納郵便切手を添え家庭裁判所に提出しましょう。
ローン中の車の場合
相続放棄をした車が、まだローン返済の途中であるという場合もあるでしょう。
ローン中の車は、使用者が故人であっても所有者がローン会社やディーラーになっているケースが多いのです。
これを所有権保留と言いますが、このケースでは車は故人の物ではないため、相続財産には含まれません。
ディーラーが所有権を持っているなら、車はディーラーに引き渡す事になります。
その後の廃車等の手続きは特に必要ありません。
しかし、銀行などのマイカーローンの場合、ローン中の車であっても故人名義になっているケースがあります。
その場合は、相続財産として見なされるため、相続放棄をした場合は廃車にする事が出来ません。
ですから、ローン中の車の場合は車検証の所有者欄をチェックし、所有者が誰になっているのかを確認しておく必要があるのです。
廃車と相続放棄のまとめ
家族が亡くなった場合、遺産があれば相続をする事になります。
ですが、相続は相続人の意思で放棄する事が出来るのです。
相続は、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も引き継ぐ事になります。
預貯金などのプラスの財産よりも、負債などが多い場合は相続放棄をする事で返済の義務も放棄出来るのです。
ただし、相続放棄は相続開始の事実を知った日から3ヶ月以内に行わなければ、相続を受け入れる意思があるという単純承認として見なされてしまいます。
また、放棄した財産を一部でも利用したり処分などした場合も、単純承認として見なされる事があります。
相続放棄をした場合、財産的価値のある車を勝手に廃車にする事は出来ないのです。
相続人全員が相続放棄をした場合も、財産の管理責任からは逃れられません。
税金や駐車場代など、金銭的負担が掛かる事もあるでしょう。
そのような場合は、相続財産管理人を選出するという方法があります。
相続財産管理人は、相続人に代わって財産の管理をしてくれるのです。
家庭裁判所に申し立てる事によって選出されます。
ただし、ローン中で所有権保留中の車に関しては、故人の財産にはなりませんのでディーラーなどに引き取ってもらう事が出来ます。
相続放棄をした車の取り扱いは非常に複雑です。
まずは所有者の確認・財産的価値の有無を調べてから対応しましょう。
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